1人1つ持つべき「防災ポーチ」 〜災害はいつどこで発生するか分からない〜

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《災害が発生するのは自宅にいる時とは限らない》

日本は災害大国であることは広く知られています。とりわけ地震においては、日本周辺では震度1以上の有感地震は1年間に1,000〜2,000回発生しており、単純に平均すると1日3〜6回は発生していることになります。

全世界の0.25%の国土面積しかない日本において、全世界で発生したマグニチュード5の地震のうちの約1割、マグニチュード6以上の地震のうちの約2割が日本で起きています。また日本及びその周辺では、世界で起こっている地震のほぼ1/10にあたる数の地震が発生しています。それだけ日本は地震大国であるということが言えます。

そのため防災について意識をしたり、自宅に食料や水などの備蓄を行う方は増えています。しかし、災害は自宅にいるときに発生するとは限りません。とりわけ発生予知が困難な地震においては、仕事先、通勤途中、外出先で被災する可能性が十分にあり、自宅以外でも防災を意識しなければなりません。大都市で大きな地震が発生した場合、電車や交通機関が麻痺して「帰宅困難者」となり、3日間程度は職場や商業施設などで待機しなくてはならない場合もあります。

そんな時に役に立つのが「防災ポーチ」です。

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《1人1つずつ持ち歩くべき防災ポーチ》

「防災ポーチ」とは、緊急時に使用する必要最低限の防災グッズを入れたものです。EveryDay Carry(EDC)と呼ばれることもあります。

防災の備えは3段階に分けて考えます。まず、外出先で被災した時のための「0次の備え」、自宅から緊急避難するための「1次の備え」、在宅避難、または自宅を離れて中〜長期的に避難生活を送る「2次の備え」です。つまり、防災ポーチは「0次の備え」となり、よくある非常用持ち出し袋(防災リュック)は「1次〜2次の備え」となります。そのため防災ポーチは家族に1つではなく、1人1人がカバンに入れておくべき備えです。

3段階の備え
  • 0次の備え:外出先で被災した時のための備え(防災ポーチなど)
  • 1次の備え:自宅から緊急避難するための備え(非常用持ち出し袋など)
  • 2次の備え:在宅避難、または自宅を離れて中〜長期的に避難生活を送るための備え(非常用持ち出し袋や日用品・食料の備蓄や持ち出し)

《防災ポーチの中身》

防災グッズのイメージ
数ある防災用品からどれを取捨選択して持ち運ぶかが難しいところ

防災ポーチに備えるおすすめのグッズを紹介します。ポーチは家に余っているものでも、100円ショップで購入したものでも何でもかまいません。

防災ポーチに入れてきたいグッズ
  • LEDライト
  • ホイッスル
  • 保温用アルミブランケット
  • 除菌シート
  • ティッシュ
  • ハンカチ(またはバンダナ)
  • 救急セット(絆創膏など)
  • 不織布マスク
  • 携帯トイレ
  • 口腔ケアグッズ(歯磨きシートや携帯用マウスウォッシュなど)
  • グローブ(または軍手)
  • 雨具(レインコートなど)
  • 現金(千円札と小銭)
  • 携帯ラジオ
  • 乾電池式モバイルバッテリー
  • 家族の連絡先などを書いたメモ
  • 家族の写真
  • ちょっとした食料(飴やようかんなど)

本当に必要な防災グッズは人によって異なるため、これをベースとして自分に必要なグッズを取捨選択します。例えば、小さな子どもを連れて外出することが多い場合はオムツやお菓子を入れておく必要がありますし、女性なら生理用品、コンタクトレンズを使用するなら予備のコンタクトレンズ、病気で薬を飲んでいる方は予備の薬などを入れるようにします。

逆に、普段からカバンに入れてあるものについてはポーチから省くことが可能です。

《防災ポーチをどう揃えるか》

初めから色々な防災グッズを詰め込んだ、防災ポーチとして販売されているものもあります。ネットショップでは色々な種類の防災ポーチが販売されていますし、「無印良品」では「いつものもしも持ち出しセット」など防災セットが販売されていたりします。完成されたものを購入することも一手です。

しかし完成されたものを買うと、あまり中身を確認せず買って満足してしまう場合もあります。実は防災ポーチの中身は、ほとんどが100円ショップで手に入るものです。防災を意識するきっかけとしても、ご自身で100円ショップでコストを抑えながら、色々考えて揃えてみるのも非常におすすめです。

また買いっぱなしにするのではなく、定期的に中身を見直したり、使ったものは補充することが重要です。

《防災ポーチの重さの目安》

防災ポーチは非常用持ち出し袋とは異なり、毎日カバンなどに入れて持ち運ぶものになります。あまり重いとそもそも持ち歩くのが億劫になってしまい、本末転倒になってしまいます。防災ポーチは、コンパクトで重くならないようにグッズを厳選するのがおすすめです。

必要なものをあれこれ揃えていくと当然重くなりますし、軽くしようとすると何かを削らなければなりません。そのバランスが難しいところではあります。一般的には重さは500mlのペットボトル1本分以内、つまり500g以内におさめるのが目安となります。

《ミニマリストの防災ポーチ》

とにかく軽く、コンパクトに備えたいというミニマリストの方々は、最低限でも命を守るグッズだけでも備えておきましょう

ミニマリストの防災ポーチの例
チャック付きビニール袋に入れるだけで防災ポーチに
ミニマリストの防災ポーチ
  • 防災ポーチ本体(ジップロックなどチャック付きビニール袋で代用可能)
  • LEDライト
  • ホイッスル
  • 携帯トイレ
  • 保温用アルミブランケット
  • ハンカチまたはバンダナ

明かりがなければ暗闇で動くこともできませんし、閉じ込められた場合に声を出し続けて助けを呼ぶことは難しいためホイッスルは必須です。トイレを我慢することは難しく、低体温は命に関わります。ハンカチやバンダナは怪我をした場合に固定や傷当てとして使用したり、火災時は口と鼻にあてて煙を防ぐこともできます。

《これさえあれば何が起きても何とかなる!?本気の防災ポーチ》

筆者が持ち歩く防災ポーチ
簡易ヘルメット代わりの「イザノキャップ」とポーチ2種

ちなみに私の場合、外出先でどんな災害が発生しても何とか乗り切れるように、なるべく万全の備えを防災ポーチに求めています。そのため、軽さよりも中身の充実を優先しており、1つでは入りきらないため2つのポーチに分け、計約1,800gとかなり重量級の防災ポーチを持ち歩いています。

防災ポーチ①の中身
衛生グッズや救急グッズを中心にまとめている
防災ポーチ②の中身
明かり、情報収集ツール、電源、体温保持用グッズ、行動食などをまとめている
Dr. ソナエル流 本気の防災ポーチ

《防災ポーチ①の中身

  • グローブ
  • 布マスク(子ども用含む)
  • N95マスク
  • 水に流せるティッシュ
  • 非常用トイレ(数種)
  • バンダナ
  • 圧縮タオル
  • 除菌スプレー
  • 除菌シート(ノンアルコールタイプ)
  • 口腔ケア用品(ローリーブラッシュ)
  • 絆創膏
  • 止血パッド
  • 18ゲージ針(穿刺だけでなく、縫合やメス代わりにもなる)

《防災ポーチ②の中身》

  • ホイッスル(コクヨ ツインウェーブ)
  • LEDヘッドライト(ジェントス CP-195DK)
  • LEDライト(ジェントス SNM-H31D)
  • ケミカルライト
  • アルミブランケット(ポンチョタイプ)
  • ビニールレインコート
  • ホカロン
  • マルチツール(軽犯罪法に注意が必要)
  • 緊急脱出用ツール(ウィンドウブレーカー・シートベルトカッター)
  • ライター、麻紐
  • 布テープ(ヤマト)
  • ポケットラジオ
  • 乾電池式モバイルバッテリー
  • 単3・単4電池予備、電池アダプター
  • コンタクトレンズ予備
  • 行動食(LIFE STOCK水分補給ゼリー、えいようかん)
  • 簡易浄水器(カタダイン ビーフリー)
  • 防水メモ
  • 濡れても書ける加圧ボールペン(ゼブラ ウェットニー)
  • 防災メモ
  • 小銭

《その他、通勤リュックに常に入れているもの》

  • 簡易ヘルメット代わりのキャップ「イザノキャップ」
  • メガネ
  • 防煙フード
  • 不織布マスク予備

ここまではやり過ぎ気味ですが、いざという時になるべく困らないようにするために備えています。当然、通勤リュックは重くなりますが、それもいざという時に向けての体力作り、かつ訓練と割り切っています。

《防災ポーチだけでなく、家族内でいざという時の行動を決めておく》

防災ポーチは自らの命を守ってくれる重要なグッズです。しかし、災害時は自分だけでなく家族の安否も心配しなくてはなりません。

外出先で被災し、交通機関が麻痺して帰宅困難者となる可能性もあります。災害が発生した時の行動や連絡手段(災害用伝言ダイヤル 171、携帯電話伝言板サービス、LINEなどのSNS)、落ち着いた後の家族の集合場所など、常日頃から防災家族会議で災害をシュミレーションし、その上で防災ポーチを持ち歩き、防災を身につけることが非常に重要です。