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《防災系アプリとは》
「防災系アプリ」とは、スマートフォン(以下、スマホ)で使うことができる、地震や津波が発生した時に緊急避難情報を通知してくれたり、台風や洪水情報などを分かりやすく知ることができたり、安否確認できるものなど、防災に役立つ様々な機能を持ったアプリケーション(以下、アプリ)です。
災害専用という訳ではなく、例えば天気予報アプリやSNSアプリのように、普段使いもできるフェーズフリーなアプリも広い意味で防災系アプリに含まれます。
災害大国日本においては、非常に便利な防災系アプリが数多く公開されています。
災害時の通信状況や、スマホの設定についてはこちら ↓
災害時のスマートフォンの活用 〜知っておきたい通信状況や設定について〜《スマホに入れておきたいおすすめのアプリ》
- 連絡用のアプリ
- 情報収集のためのアプリ
- 徒歩帰宅を支援してくれるアプリ
- その他、防災に役立つアプリ
防災向けのアプリはほとんどが無料で十分な機能が使えます。災害を想定しスマホに入れておきたいアプリは、連絡用のアプリ、情報収集のためのアプリ、徒歩帰宅を支援してくれるアプリ、その他防災に役立つアプリに分けて考えます。
家族の安否確認や連絡用のアプリ
- LINE
- 災害用伝言板アプリ(各大手通信キャリア会社の公式アプリあり)
災害発生時には家族の安否確認の手段が問題となります。NTTドコモ モバイル社会研究所では、2021年10月に防災に関する調査を行なっており、災害時の連絡手段を家族で決めている人は33.5%と発表しています。
大規模災害が発生した時、通信回線の混雑「輻輳(ふくそう)」を避けるため、通話は控えるようにするべきです。また、できればメッセージが文字で残るアプリを使うと、後からでも内容を確認しやすく便利です。
【LINE】
今や多くの人が使用しているLINEですが、元々は東日本大震災において通信手段が大打撃を受けた経験を元に誕生しました。緊急時のホットラインとして使えるように、通信回線が絶たれても使えるメッセージアプリとして2011年6月に誕生しています。LINEは通信回線が繋がらなくても、インターネットに繋がっていれば利用できます。またメッセージの「既読」表示は、災害時の安否確認に役立ちます。
グループLINEで家族の連絡網として使用したり、位置情報を送信したりすることができるため、必ず入れておくべきアプリです。
例えば我が家の場合、「家族の防災グループLINE」を立ち上げています。災害発生時は誰かがメッセージを最初に送り、防災グループLINEを素早く立ち上げて開設できるように、あらかじめ家族内で決めています。
【災害用伝言板アプリ】
ドコモ、au、ソフトバンクの大手通信キャリア3社からは、公式の災害用伝言板・災害ダイヤルアプリが公開されています。LINEが使用できる状況であれば出番はありませんが、何らかの原因でLINEが機能しないなどの可能性も考え、念のためダウンロードしておくとよいでしょう。
登録した安否情報などは、通信回線(キャリア回線)やインターネットを通じて、全国どこからでも閲覧することができます。
格安SIMの多くは災害伝言板・災害ダイヤルのアプリに対応していませんが、「災害用伝言ダイヤル(171)」で音声を録音、または「web171」というインターネット上の災害用伝言板でメッセージを残すことができます。
緊急地震速報や避難情報など防災情報を得るためのアプリ
- Yahoo!防災速報
- goo防災アプリ
- NHKニュース・防災
- 特務機関NERV防災
- 防災情報 全国避難所ガイド
- TEPCO速報
災害時には緊急地震速報や避難情報などが得られるアプリを入れておきましょう。元々スマホには通信回線(キャリア回線)を利用した、緊急地震速報などの緊急速報を通知する機能が備わっていますが、通信回線がダウンしていると通知することができません。
一方で防災系アプリは、通信回線かWi-Fiどちらか一方に繋がっていれば、GPSと連動して緊急速報を通知してくれます。
【Yahoo!防災速報】
防災系アプリで迷ったらこのアプリを入れておけば間違いはありません。非常に使いやすく、動作も安定しており、様々な災害に対応しています。地域の防犯情報なども通知してくれます。また細かい設定も可能であり、自分に合った通知に設定することができます。
その他、避難場所やハザードマップの確認、防災知識コンテンツ、ユーザーからの投稿情報を確認できる災害マップなど、非常に機能が充実しています。
【NHK ニュース・防災】
NHKのニュースや災害関連の情報が確認できる公式アプリです。プッシュ通知にも対応しています。災害時にはライブカメラで映像を確認できたりと、機能が充実しています。公共放送の公式アプリだからこそ、情報が正確でタイムリーに得ることができます。
【特務機関NERV防災】
元々は、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の作中に登場する組織「特務機関NERV」をモチーフにし、エヴァンゲリオンのファンである、宮城県石巻市出身のITエンジニア 石森大貴氏が運営する、災害情報や防災情報を発令するTwitterアカウント「特務機関NERV」から始まりました。
気象庁から予報業務許可事業者の許可を受けたことをきっかけにアプリが開発され、「エヴァンゲリオン」シリーズの著作権を有する株式会社グラウンドワークスから、「公認・非公式」という形で許諾を得ています。
「エヴァンゲリオン」の作風をイメージした特徴的なデザインが秀逸で、様々な災害に対応しており、特に情報の信頼性や速報性の高さに非常に評判があります。
運営するゲヒルン株式会社では、発電機能を備えたハイブリッド車(PHEV車)を災害対策車両として配備しており、災害時など長期間にわたる停電が発生しても情報発信ができるように整備しています。
【防災情報 全国避難所ガイド】
現在地周辺の避難場所や避難所を自動検索し、道順をルート案内してくれる災害時用ナビゲーションアプリです。全国の自治体が定めた災害時の避難所や避難場所を15万件以上収録しており、データベースは随時更新されます。
一時避難場所、帰宅困難者一時滞在施設、津波避難施設、給水拠点、医療機関なども検索できるため、外出先での災害時に非常に役に立ちます。
【TEPCO速報】
東京電力の公式アプリです。東京電力管轄内の停電情報を知ることができます。
このアプリは東京電力の管轄外には対応していませんが、それぞれ各地域の電力会社から公式アプリが出ており、停電情報を知ることができます。お住まいの地域の管轄の電力会社のアプリをダンロードしておくと、停電の範囲や復旧情報を知るのに便利です。
災害が落ち着いた後、徒歩帰宅を支援してくれるアプリ
- google map
- maps.me
大規模災害が発生すると、公共交通機関はマヒします。大都市の場合には帰宅困難者の行動として、無理に帰らず、発災後72時間は職場や商業施設などに留まり、その後は徒歩帰宅を行うことになります。長距離の徒歩帰宅を行う場合、地図が必要になります。紙の地図を持ち歩いていれば良いですが、ない場合は地図アプリに頼ることを考えなくてはなりません。
「帰宅困難者」になったときどうするか? 〜大規模災害時、それでもあなたは帰りますか?|火災旋風|群衆雪崩〜
大規模災害時は通信網もマヒしている場合が想定されます。基本的に地図アプリは、回線につながっている状態でないと地図を読み込まず、使うことができません。そのため地図データをあらかじめスマホにダウンロードすることができ、オフラインでも地図表示できるアプリを入れておきましょう。
【googleマップ】
地図アプリとして最も広く使われるgoogleマップですが、設定画面より自由な範囲の地図データをあらかじめダウンロードし、オフラインでも地図表示することができます。
【maps.me】
オフラインに特化した地図アプリです。県単位で地図をダウンロードし、保存することができます。
その他、入れておくと便利なアプリ
- ウェザーニュース
- Yahoo!ニュース
- 東京都防災アプリ
- radiko
- mymizu
- トイレMAP
- タウンWiFi
その他、ニュースアプリや天気予報アプリなど、普段使いもできるフェーズフリーなアプリを入れておくのもおすすめです。他にも、近くのトイレや給水ポイントを教えてくれるアプリ、Wi-Fiスポットを教えてくれるアプリ、インターネットラジオのアプリ、SNSアプリも防災に役立ちます。
【ウェザーニュース】
天気予報アプリです。細かな天気や、天気に関する旬な情報を確認できる他、様々な災害情報にも対応し、通知機能もあります。
【Yahoo!ニュース】
Yahoo!のニュースアプリです。使いやすく、普段使いにも便利です。
【東京都防災アプリ】
東京都が制作、配布している防災冊子である「東京防災」がアプリになったものです。東京都限定ではなく、他の道府県の誰でも利用できる内容となっています。災害時のシミュレーションやクイズ、日常で備えておくべきものなどがイラストと合わせて解説されており、分かりやすいのが特徴です。「東京備蓄ナビ」では簡単な家族構成などの入力で、家族に必要な備蓄品目と必要量のリストを知ることができます。
平時にも防災知識を得られるアプリとなっています。
【radiko】
スマホで通信回線、もしくはWi-Fiなどインターネット経由でラジオを聞くことができるアプリです。ラジオ電波を受信して聞けるわけではないので、通信網がマヒしていると聞くことができない点に注意が必要です。音声のみのデータのため、動画配信アプリに比べてバッテリー消費量とデータ通信量が格段に少なく、災害時に情報を得る手段として有用です。
【mymizu】
給水スポットを地図検索してくれるアプリです。
【トイレMAP】
近くのトイレを地図検索してくれるアプリです。
【タウンWiFi】
街中のWi-Fiスポットを検索できたり、Free Wi-Fiに自動接続してくれるアプリです。Wi-Fiに接続できれば通信回線がダウンしていても通信が可能で、LINEなどで連絡したり、防災系アプリで情報収集することができます。
【Twitter】
Twitterはアカウントを持っている人であれば、誰でも簡単にリアルタイムに情報を発信したり、得ることが可能であるため、地域の細かな情報や最新の情報を素早く得られるメリットがあります。ただしデマ情報や正確性が不明な情報も飛び交うことがあり、安易にリツイートすることにより誤った情報が速やかに拡散してしまうリスクがあることは覚えておく必要があります。
2016年に発生した熊本地震では、「地震で動物園からライオンが逃げた」と事実とは異なる道路に立つライオンの画像と共にデマ情報を投稿し、後に投稿者が逮捕されています。これだけでなく、災害時には毎回と言ってよいほど多数のデマが出回ります。発信された情報が本当に正しいかを吟味することが非常に重要です。
政府や関係機関の公式アカウントをフォローしておくこともおすすめです。首相官邸(災害・危機管理情報)、総務省消防庁、防衛庁、自衛隊、お住まいの自治体の公式アカウントなどを日頃からフォローしておきましょう。また、公式アカウントは名前の右側に青いチェックマーク(認証バッジ)がついており、偽アカウントとの区別に役立ちます。
災害時に119番と110番が使えない場合、緊急救助を要請する手段としても使用できます。「#救助」とハッシュタグをつけ、状況説明、写真、位置情報を添付することにより、救助に繋がる可能性を高めることができます。
《アプリを入れて満足するのではなく、平時からアプリの操作や使いやすさを確認しておきましょう》
ここに挙げたアプリは、代表的な防災アプリです。この他にも有用な優れたアプリは多数あり、中には地域に特化したアプリなどもあります。災害時にあわててダウンロードしようとしても間に合いませんので、平時からダウンロードしておき、設定を確認して備えておくことが重要です。
また、そもそもスマホには緊急速報(緊急地震速報、津波警報、Jアラートなど)を受信する機能が備わっています。これらの通知をオンにすることも忘れないようにしましょう。