首都直下地震〜いつ起きてもおかしくない、首都を揺るがす大地震〜

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《首都直下地震とは》

首都圏に最大級の被害をもたらす、マグニチュード7クラスの大地震です。

首都周辺地域は、南方からフィリピン海プレートが北米プレートの下に沈み込み、 これらのプレートの下に東方から太平洋プレートが沈み込むという複雑なプレート構造となっています。そのため、首都周辺において発生する地震は極めて多様となります。

首都周辺で発生するM7程度の地震は、都心南部直下地震、多摩東部直下地震、都心東部直下地震、都心西部直下地震、多摩西部直下地震が想定されており、30年以内の発生確率は、70%程度と予測されています。

これは、過去に発生している大地震の発生間隔を根拠とし、推定されています。
具体的には、「元禄関東地震」から「関東大震災」までの220年間を1つのサイクルとし、この間にM7クラスの地震が8回発生しているため、単純計算で27.5年に1回発生している計算となります。これを地震学の計算式に当てはめて、30年以内に70%という発生確率を導き出しています。


https://www.youtube.com/watch?v=Tnxww93PgPc

内閣府資料 「首都直下地震編 全体版」

《被害想定》

《揺れによる被害》

全壊家屋:約175000棟

建物被害に伴う要救助者:最大約72000人

 

《想定死者数》

建物倒壊で最大約11000人

火災により建物倒壊と合わせて最大約23000人

 

《火災》

首都直下地震では、火災による死者数が全体の約7割と、建物倒壊による死者数より多く想定されています。これは、山手線外周部から環状7号線沿いに老朽化した木造住宅が密集しており(木密地域)、同時多発的に発生した火災に消防が追いつかず、炎や煙が渦を巻く「火災旋風」が発生し、被害を拡大させるためと想定されています。

 

《津波》

東京湾内では3m程度、あるいはそれ以下と予想されています。これは、東京湾は外洋からの入り口が狭く、中で広がっている形状のためと考えられています。しかし、東京湾内には海抜0メートル地帯があることに留意が必要です。

当面発生する可能性は低い(30年以内に0〜6%程度の発生確率と推定)ものの、大正関東地震(1923年に関東大震災を引き起こした地震)クラスの、相模トラフで発生する海溝型地震を考慮し検討すると、神奈川県と千葉県において、地震発生後510分で 6~8m程度の津波が想定され、最大クラスの地震では津波が10mを越す場合があるとされています。

この最大クラスの地震では、津波による死者は約11000人と想定されます。

 

《帰宅困難者》

2022年05月25日の東京都防災会議にて、首都直下地震の被害想定が見直されました。

都心南部直下地震が発生した場合、東京都で最大453万人の帰宅困難者発生が見込まれています。無理に徒歩帰宅を目指すと2次被害に巻き込まれたり、群衆雪崩により死傷する可能性が危惧されています。

 

《エレベーター閉じ込め》

最悪の場合、約17000人が閉じ込められる可能性があると試算されています。閉じ込めは長時間にわたる可能性があります。

 

《経済的被害》

約95兆円

 

《電力》

発災直後は約5割の地域で停電あり、1週間以上不安定な状況が続く見込みです。

 

《通信》

輻輳のため、9割の通話規制が1日以上継続する見込みです。

 

《上下水道》

都区部で約5割が断水。約1割で下水道が使用不可となります。

 

《交通》

地下鉄は1週間、私鉄・在来線は1か月程度、開通までに時間を要します。

主要路線の道路啓開には、少なくとも12日を要し、その後、緊急交通路として使用。都区部の一般道はガレキによる狭小、放置車両等の発生で深刻な交通麻痺が発生します。

 

《燃料》

油槽所・製油所において備蓄はあるものの、運送手段が麻痺し供給が困難となる。

 

(平成25年12月 内閣府 中央防災会議防災対策実行会議 首都直下地震対策検討ワーキンググループ 首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)を参考。2022年5月25日の東京都防災会議の被害想定を参考にし、加筆。)

《建物の耐震化、家具の転倒防止対策、火災対策を》

建物の耐震化、家具の転倒防止対策、出火防止対策を行うことで、被害を大幅に軽減することが可能とされています。これらは地震対策の基本でもあります。

大地震が発生しても、死なない環境を整えることが防災の第一歩です。