2011年3月11日に発生した東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市において、唯一機能する病院として残った石巻赤十字病院にて、「石巻圏合同救護チーム」を立ち上げ指揮した石巻赤十字病院の外科医で医療社会事業部長(当時) 石井 正医師の活動記録です。宮城県より災害医療コーディネーターを委嘱された直後に東日本大震災が発生しました。
これまで経験のない未曾有の大災害により、想像を絶する現実に次から次へと直面し、混乱を極めた災害医療。災害の超急性期、急性期、亜急性期から、復旧・復興に渡る慢性期、そして石巻医療圏の再生に向けたチームのフェードアウト(幕引き)まで、様々な問題や課題にチームだけでなく多くの関係者達で手を取り合い立ち向かった姿が書かれています。
私も医者の端くれとして、行動力、リーダーシップ、災害医療の心構え、仕事を医療に限定しない姿勢など、感銘を受ける内容が盛りだくさんでした。次に必ず起こるであろう災害において、自分が被災者であったらどうだろうか?自分には何ができるだろうか?医者としてどう力になれるだろうか?医療に限らず現場の求めることに柔軟に対応できるだろうか?と考えさせられました。
医療に偏った内容の書籍ではなく、災害現場の臨場感、避難所での問題や被災者目線での課題など、医療者でなくても非常に読みやすく、知っておくべき価値ある内容です。