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《東日本大震災について》
東日本大震災は、2011年3月11日14時46分に東北の三陸沖で発生し、マグニチュード9.0を観測した「東北地方太平洋沖地震」による災害と、これに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故による災害です。最大震度は宮城県栗原市で震度7を観測し、震源域は岩手県沖から茨城県沖にまで南北約500km、東西約200kmと非常に広範囲にわたる、日本海溝付近の海溝型地震でした。
東北の太平洋沿岸各地が10メートルを超える巨大津波に襲われ多くの人が犠牲となり、死者 15,900人、行方不明者 2,523人(2022年2月末時点)、災害関連死 3,784人(2021年9月30日時点)、避難者数は2022年2月時点でも38,139人に及びます。
《震災から10年以上が経過》
震災時、私は臨床研修医として呼吸器外科を回っていました。地震が発生した14時46分はちょうど手術に入っていて、手術の終盤である閉創(最後に傷を縫って閉じるところ)のタイミングでした。私がいた地域では震度5弱でしたが、大きな揺れの中、手術台にしがみつき患者さんが落ちないように必死に押さえていました。あまりにも揺れている時間が長く、やがて体が揺れに少し慣れてきたので、揺れの中でもこのまま縫合を続けられないないかな?なんて場違いなことを考えていた記憶があります。
震災発生から10年を節目に政府主催の追悼式典が終了しました。新型コロナウイルス感染症パンデミックも重なり、年々被災した各自治体でも式典の縮小傾向が進んでいます。遺族の方々の高齢化も進み、負担軽減が必要になってきており、いつまでも下を向いていては仕方がないという意見もあります。
逆に、東日本大震災を知らない若い世代も増えてきており、風化させずに次世代にどう伝えていくかということが課題でもあります。災害で最も重要なことは、亡くなった方々の犠牲を教訓にすることであり、必ず起こる次の災害に生かし備えていくことだと思います。
そのためにこういった写真集を個人的に集めるようにしています。主に中古品を購入するようにしていますが、その分安く、多くの種類の写真集を得ることができます。災害の現実を生の写真でより詳しく知り、また感じ、自分の子供にも伝えたいと思います。
《「報道写真全記録2011.3.11-4.11 東日本大震災(朝日新聞社)」》
冒頭の押し寄せる膨大な黒い津波の見開きから始まり、震災の悲惨さ、被災者の方々の悲しみが伝わってくる写真集です。瓦礫の山や折れ曲がった電車、津波で陸に流された大型船などが、自然災害の恐ろしさを伝えています。後半では復興に向けた兆しを見ることができ、特に瓦礫の脇を自転車で通学する学生の写真が印象的でした。
《「自衛隊員が撮った東日本大震災 内側からでしか分からない真実の記録(マガジンハウス、防衛省協力)」》
東日本大震災で救助・捜索・復興・原発事故対応に尽力した自衛隊の内から記録した写真集です。自衛官の方々が果たした重大な役割や、災害の悲惨さだけではなく、「トモダチ作戦」という米軍の援助、被災者達との心温まる交流なども知ることができる大変貴重な写真集です。
《「東日本大震災10年 復興の歩み 宮城・岩手・福島 (河北新報社)」》
岩手・宮城・福島3県の、震災直後の惨状と10年後の今を、同じ高度と角度で撮影した写真集です。震災直後と10年の歳月を経た写真が並べて掲載されており、惨状からの復興を知ることができます。