防災に忘れちゃいけないメガネの準備 〜必要不可欠な視力の確保|コンタクトレンズでもメガネは必須〜

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皆様は、メガネの防災は意識していますか?

日本におけるメガネユーザーの割合は、「常にメガネをかけている人」が33.7%、「必要なときだけメガネをかける人」が28.7%、「メガネとコンタクトを使い分けしている人」が13.3%となっています(株式会社プラネット 「メガネに関する意識調査」より)。日常的にメガネを使用している割合は75.7%となり、4人に3人が日常的にメガネをかけていることになります。

一方、コンタクトレンズを使用している人は、日本眼科学会によれば全国で1500~1800万人といわれており、約10人に1人の割合です。

ちなみに私の場合、幼少期からド近眼で、小学生の時にメガネが必要となり、中学生頃からコンタクトレンズをメインに使用しているため、災害時に裸眼で行動することはほぼ不可能となります。

日本人の大多数が抱える「視力」問題は、防災対策上決して無視できません。防災には欠かせないけれども、意外と忘れがちな、メガネとコンタクトレンズについて紹介します。

メガネとコンタクトレンズについて

メガネは、屈折異常(ピントが合わないこと)と言われる近視、遠視、乱視を、凸レンズ・凹レンズ・円柱レンズなどで矯正してくれるものです。ピント調節力が低下する老眼になってもメガネは使うため、人はだれでも一生のうち1度はメガネを利用することになります。

屈折異常を矯正してくれるレンズを、直接角膜(黒眼)に接触させるのがコンタクトレンズです。見た目の印象を変えたり、自然な視界を得やすいことや、スポーツなどで便利であるなどのメリットから、コンタクトレンズを選択する人も多くいます。

いずれも日常生活を送るにあたり、視力に異常を抱える人にとっては欠かせないものです。

コンタクトレンズは「高度管理医療機器」

コンタクトレンズは、メガネをかけなくても自然に視力が得られ、インターネットでも手軽に購入でき、ファッション感覚で使うカラーコンタクトレンズもあり、非常に身近なものとなっています。

ですが実はコンタクトレンズは、医療で使用される人工呼吸器、血管用ステントグラフト、人工透析器、人工骨などと同様、医療機器としては最もレベルの高い「高度管理医療機器」であることはご存じでしょうか。

「高度管理医療機器」とは、「副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が指定するもの」と定義されており、2005年の薬事法改正時にコンタクトレンズは高度管理医療機器に位置付けられました。

つまりコンタクトレンズは、非常に高度な管理が求められる医療機器であるということです。

コンタクトレンズの合併症とリスク

コンタクトレンズ装着時は手指衛生が重要なため、災害時の使用は注意が必要

ド近眼で中学生頃からコンタクトレンズをメインで使用している私も含め、今やコンタクトレンズの使用者は多くなっています(約10人に1人の割合)。しかし忘れてはいけないのが、コンタクトレンズは人体にとっては異物であり、全く無害なコンタクトレンズというものは存在しないということです。

コンタクトレンズによる合併症としては、結膜炎角膜感染症(角膜炎)などがあり、重症例では入院加療が必要になったり、治癒後も矯正困難な視力低下の後遺症が残る症例も多くあります。重症例の中には、レンズケアがしっかりと行われていなかったり、コンタクトレンズの使用期間や定期検査間隔が正しく守られていない例がみられています。

眼の調子が悪い時はコンタクトレンズを使用しないようにしましょう。また、一般的なソフトコンタクトレンズの場合、1日の装着時間は12〜16時間と言われています。装着時間を守ることも、コンタクトレンズ合併症予防に非常に重要です。

眼の構造
角膜炎結膜炎のイメージ

コンタクトレンズは24時間着けっぱなしにはできず、眼の状態が良くない時は使用できません。そのため、普段コンタクトレンズしか使わない人であっても、必ずメガネを用意しておかなければなりません。つまりコンタクトレンズはメガネとセットで使用するのが基本です。

日本コンタクトレンズ協会などのホームページでは、実際のコンタクトレンズによる眼の疾患の実例を参照することができます。

特に災害時では水が貴重となるため、コンタクトレンズ装着時に直接触れる手指の衛生が保ちにくくなり、角膜感染症などのリスクが上がります。そのため災害時はなるべくコンタクトレンズではなく、メガネを使用するべきです。

日本眼科学会、日本コンタクトレンズ学会などからも、災害時に被災地では衛生面で様々なことが危惧されるため、出来るだけメガネに切り替えるように推奨されています。

防災的にもメガネの準備は欠かせない

大地震や停電など、災害時に一番大事なものと言っても過言ではないのが、「視野・視力の確保」です。人は情報の約90%を視覚から得ています。「視野・視力」が確保できない場合、周囲の90%の情報を得ることができないということになります。

地震の揺れから身を守った後、避難行動を開始するにあたって「視野・視力」が確保できないと、床や地面に散らばっているガラスや瓦礫に気づかなかったり、道路の陥没に気づかず怪我をしたり、最悪命を落とすなど非常に危険な状況に陥ります。過去の災害においても、慌てて避難したためメガネの手持ちがなく、非常に苦労したケースが多数あります。

メガネは予備も用意しておく

このように平時だけでなく、特に災害時は視力の確保が非常に重要になります。そのため、メガネは破損や紛失に備え、普段使っている度数と同じ予備のメガネも用意しておきましょう。

メガネのレンズには、ガラス製とプラスチック製があります。プラスチックレンズの方がガラス製に比べて割れにくく、割れた場合も粉々になりにくいため、防災的にも安全です。ガラスレンズのメガネのみを所有している方は、プラスチックレンズのメガネも予備に作っておくとよいでしょう。

また老眼鏡を使用する方は、スマートフォンで情報収集する場合などに必要となるため、合わせて準備しておきましょう。

枕元にメガネを準備。地震の揺れ対策も忘れずに

就寝中はメガネを外すことがほとんどです。大地震が発生し停電が発生した場合には、速やかな視野・視力の確保が必要になります。また、地震の揺れでメガネがどこかへ飛んでいってしまうと、探すことが難しくなります。枕元にメガネの定位置を決めておき、地震の揺れ対策も忘れずにしておきましょう。

メガネが見つからず、視野・視力が確保できない状況では、避難行動が遅れてしまいます。ハザードマップで津波被害が想定されている地域などでは、避難行動の遅れが命に関わる場合もあります。

枕元にはメガネや暗闇で視野を確保するための懐中電灯など、必要なグッズを揃えておきましょう。

枕元に置くべき防災グッズ 〜就寝中の地震や停電に備える〜

非常用持ち出し袋(防災用リュック)には予備のメガネを

非常用持ち出し袋(防災リュック)は、災害発生時に自宅に残ることが危険な場合、緊急避難するときに持ち出す防災グッズです。そのため、避難中や避難先で視力を確保するためにも、防災リュックには予備のメガネを入れておきましょう。余っているメガネを入れておくのもおすすめです。

古いメガネは処分せずに有効活用を

新しい度数のメガネを作ると、古くなったメガネの使い道に困ることもあります。避難時や避難生活においては、なるべく度数の合うメガネを使用するべきですが、かといって度数が合わなくなった古いメガネを処分してしまうのは勿体ないことです。

古くなったメガネでも、裸眼の状態よりは遥かに安全です。古くなったメガネは非常用持ち出し袋(防災リュック)に入れておいたり、出先で被災して数日間家に帰れない可能性もあるため、仕事先などに予備として備えて有効活用するようにしましょう。

コンタクトレンズユーザーはメガネを常に持ち歩く

コンタクトレンズをメインで使う方は、自宅だけでなく、非常用持ち出し袋に1週間分のコンタクトレンズと、洗浄液などのケアセットを用意しておきましょう。しかし、災害時の衛生面と角膜感染症のリスクを考えると、なるべくメガネを使用する方が安全です。繰り返しになりますが、コンタクトレンズをメインで使う場合も、必ずメガネを準備しておきましょう。

また家に準備しておくだけでなく、外出先で被災し数日帰れない状況も想定し、コンタクトレンズの予備とメガネはカバンに入れて常に持ち歩き職場にはレンズの予備と洗浄液を置いておくなどの工夫をしましょう。

【まとめ|忘れがちだけれど非常に重要なメガネの備え】

防災対策に視力の確保は必要不可欠です。メガネやコンタクトレンズは日常生活の必需品ですが、いざという時に意外と盲点となりやすく、忘れやすいグッズでもあります。

繰り返しになりますが、特に災害時は視力が確保できないと命に関わる可能性があります。メガネ、コンタクトレンズについて、今一度確認しておきましょう。

私の場合、ド近眼で中学生頃から1dayタイプのコンタクトレンズをメインで使用していますが、最近夕方になると眼が充血してくること、早いと30代後半から始まる老眼のこともそろそろ考え始めなければならないこと、やはり災害時にはメガネをメインで使用したほうが良いことから、今後メガネの割合を増やして行こうかな、なんて考えている今日この頃です。ライフスタイルを防災に寄せていくのも、重要な防災対策ですね。