LEDライト(懐中電灯)の選び方 〜防災に「明かり」の備えを!ハンディ型・ヘッドライト型・ランタン型・コンパクト型どれを選ぶか、明るさの目安や防災的観点から意識するポイントも!〜

Pocket

《LEDを使用したモデルが絶対おすすめ》

防災用にライトを購入する場合いわゆる豆電球タイプではなく、LEDタイプを選びましょう。豆電球の寿命が約2,000時間であるのに対し、LEDの寿命は約40,000時間です。LEDは長期に使用すると劣化し徐々に明るさが落ちていきますが、豆電球のように球切れがありません。

LEDは発光効率(エネルギーの変換効率)が良いため明るく、電池が長持ちし、長時間使用が可能です。また発熱量が少なく、衝撃や振動に強いこともメリットです。そのため現在販売されている大多数の懐中電灯はLEDタイプとなっており、防災的にもLEDタイプが絶対的におすすめと言えます。

《明るさの単位について》

LEDライトのパッケージを見ると、明るさの単位としてルーメン、カンデラ、ルクスのどれか、または複数が記載されています。単位が違うと比較ができず、明るいのか暗いのか分からなくて悩むと思います。

「ルーメン(光束)」光源自体(光の全体)の明るさ「カンデラ(光度)」照らす範囲の一番明るい部分の明るさ「ルクス(照度)」照らされた範囲(1平方メートルあたり)の明るさを指します。

ルーメン・カンデラ・ルクスのイメージ

そのため、LEDライト(懐中電灯)の明るさはLED光源自体の明るさ(強さ)を示す「ルーメン」で選ぶのがおすすめであり、現在販売されている多くのLEDライトがルーメンで表記されています。

《ハンディ型、ヘッドライト型、ランタン型、コンパクト型の選び方》

LEDライトといっても、様々なタイプがあります。大きく分けると、一般的な手に持つタイプの「ハンディ型」、頭にバンドで装着する「ヘッドライト型」、置いたり吊るしたりして使用する「ランタン型」、キーホルダータイプや首から下げる「コンパクト型」があります。それぞれ特徴を紹介します。

ハンディ型は、一般的な手に持つタイプのライトです。保管しやすく、手に持ってすぐに使用することができます。コンパクトなタイプなら、普段からカバンに入れて持ち運ぶことも可能です。明るさも様々で、上級モデルでは数1,000ルーメンから10,000ルーメン以上のハイスペックモデルまであります。

ヘッドライト型の最大の特徴は、頭に装着することで両手が空くことです。これは作業時や避難時に非常に有効であり、非常用持ち出し袋にはヘッドライト型を用意しておくことをおすすめします。数10ルーメンから数100ルーメンまで十分な明るさを持つ商品があります。

ランタン型の特徴は、広範囲を照らすことです。自宅が停電した場合など、生活空間を広く照らす必要がある場合に有用です。アウトドアシーンで使われることが多く、スマートフォンなどを充電できるモバイルバッテリーを搭載したタイプもあります。

コンパクト型には、キーホルダーとしてカバンに付けたり、両手をフリーにできる首から下げるタイプなどがあります。非常に持ち運びしやすいメリットがありますが、明るさは20ルーメン程度とそれほどでもないため、手元や足元を照らす補助的なライトとして使用します。

ライトはどれか1種類を備えておくのではなく、自宅にはハンディ型とランタン型を、非常用持ち出し袋にはハンディ型とヘッドライト型、通勤カバンやポーチなどには急な停電でもすぐに点灯できるようにコンパクト型を付けておくなど、複数の種類を組み合わせて備えておくのが重要です。

《防災的には最大ルーメン値よりも点灯時間が重要》

LEDライトを選ぶ時、どうしてもより明るいものを選びたいと考えがちです。しかし防災的な使用を考えると、屋内での使用がメインとなる場合が多く、最大の明るさを求めるよりは、長時間の点灯時間や実用的な明るさを選ぶ必要があります。

ルーメン値による明るさの目安としては、50ルーメン以下では先を照らすには物足りず、手元や足元を照らすのに適しています。

100〜200ルーメンは多くの一般的なハンディ型やヘッドライト型の明るさであり、数十メートル先も照らすことができ、室内での使用をメインとした最も実用的な明るさです。

300ルーメン以上では、暗い屋外でさらに遠方まで照らせる明るさになってきます。逆に、手元を照らすには眩しくて見えづらくなります。またルーメン値が大きくなればなるほど、乾電池式では容量不足になるため充電池式モデルの割合が多くなります。

防災用としておすすめなのが、100〜400ルーメン位のモデルで、弱モードで24時間以上点灯できるモデルです。この位のモデルであれば、明るさ、点灯時間、サイズ、値段のバランスが非常に良く、明るさを数段階に切り替えられるモデルも多く、屋外避難から室内で手元を照らすまで幅広く使用でき、災害時に非常に実用性が高いと感じています。

《電源タイプは単3電池使用タイプがおすすめ》

電源のタイプとしては電池式と充電池式、または両方使えるハイブリッド式があります。高性能なライトになるほど、充電池式の割合が多くなります。充電式は停電時の使用を考えると、ポータブルバッテリーなどが必要となることは注意が必要です。一方で乾電池式は、電池の備蓄さえあれば使い続けることができるため手軽と言えます。

その他、ソーラー発電式、手回し発電式などのライトもあり、電池が不要であったりしますが、光量が少ないこと、充電容量が少なく長時間使えない可能性があることには注意が必要です。

乾電池式の場合、単3電池を使用するモデルがおすすめです。単3電池は汎用性が高いため、他の機器から流用したり、逆に他の機器に流用することができます。乾電池の備蓄も、単3電池を中心に備えるのがおすすめです。

《防塵・防水性も重要》

災害時の利用を想定すると、防塵・防水機能も重要となります。防塵防水性能は「IP◯◯」という等級で表記されます。◯◯には数字が入り、左側が防塵性能で0〜6の7段階、右側が防水性能で0〜8の9段階となっています。省略される場合は「X」が入ります。数字が大きいほど高性能であり、「IP68」が最大の防塵・防水性能となります。

防災用の目安としては、ハンディ型やヘッドライト型のライトで「IP64」以上がおすすめです。

《ハンディ型やヘッドライト型をランタンとして使用する豆知識》

ハンディ型やヘッドライト型のライトは、ライトが向いている位置方向を照らすのには優れていますが、周り全体を照らすのは不得意です。ランタン型ライトがあればよいですが、ない場合は少し工夫をすることによりランタンのように周囲を明るくすることができます。

①水が入ったペットボトルを乗せる

ペットボトルランタンの例
ライトに長さがあったため、コップの上にトイレットペーパーを乗せ芯の部分にライトを入れ、その上にペットボトルを置いてみた。

ライトを立て、ペットボトルを乗せることにより、ペットボトルと水に乱反射した光が、ランタンのように辺りを照らしてくれます。ライトを立てるには、トイレットペーパー、段ボール、コップなどを利用すると便利です。

②白いビニール袋をかぶせる

ビニール袋ランタンの例
トイレットペーパーがライトスタンドとしていい仕事をしている。

白いビニール袋をライトの先端に被せることにより、ビニールに当たった光が乱反射し、ランタンのように使用することができます。このやり方であれば、ストラップを引っ掛ければ吊り下げて使うこともできます。

《おすすめのLEDライト》

暗闇において視界確保は極めて重要です。LEDライト(懐中電灯)は、信頼できるメーカー製を強くおすすめします。ここでは個人的に所有しているものを中心に、おすすめのライトを紹介します。

ハンディ型

GENTOS(ジェントス) BR-432D

私も所有し、ハンディ型で最も防災向きと考えているのが、ジェントスのBR-432Dです。防塵・2m防水(IP68準拠)&2m落下耐久のタフなモデルです。フォーカスコントロールはついていませんが、リフレクターにより広範囲をきれいに照らしてくれます。単3電池2本で動き、サイズもコンパクトでテールスイッチで使いやすく、400ルーメン (High) – 150ルーメン (Mid) – 20ルーメン (Eco)モードを搭載しています。Ecoモードでは34時間点灯可能です。

GENTOS(ジェントス) DI-032D

チップタイプとCOB(面発光)タイプの LED 2種類を搭載し、遠距離と広範囲の照射の切り替えと同時照射が可能になっているライトです。最大350ルーメンで5時間、COB LEDのみのEcoモードなら60ルーメンで24時間点灯します。

GENTOS(ジェントス) SG-430

シンプルなON / OFF構造で、弱モードはありませんが、250ルーメンで11時間使用可能です。ツイストフォーカスコントロールでスポットビームからワイドビームまで無段階に照らす範囲を調節可能です。シンプルな機能を求める方におすすめです。

LEDLENSER(レッドレンザー) P6 core

ドイツのレッドレンザー社製のライトは非常に高品質です。このP6 coreは単4電池3本で最大300ルーメンの明るさがあり、Lowモードは25ルーメンで25時間点灯します。本体やスイッチの重厚感はなかなか日本製にはなく、オーナーの所有感を満たしてくれます。

パナソニック 電池がどれでもライト BF-BM10

その名の通り、単1電池〜単4電池までどれでも1本で点灯するライトです。縦置きにするとランタンとしても使用可能です。全ての電池を入れて切り替えて使うことで、最長97.5時間使用することができます。この商品は2011年3月の東日本大震災を教訓に、2013年にリニューアルされています。14ルーメン(参考値)と明るさは控えめですが、停電時の屋内での使用なら十分実用的な明るさであり、何より単1〜4電池どれか1本があれば明かりが得られることは、極めて防災向きといえます。

ヘッドライト型

GENTOS(ジェントス) CP-195D

単3電池1本で120ルーメン、7.5時間使用できる非常に優秀なモデルです。Ecoモードでは25ルーメンで25時間使用でき、暗闇で視界を確保する時に便利な赤色LEDを搭載し、3ルーメンで70時間点灯します。色はブラックとカーキの2種類があります。コスパが非常に良くサイズもコンパクトであり、我が家では自分と妻の防災ポーチに備えています。

LEDLENSER(レッドレンザー) MH3

ドイツのレッドレンザー社製のヘッドライトです。単3電池1本で最大200ルーメン、4.5時間使用できます。Lowモードでは20ルーメンで35時間使用できます。色は5種類あり、好きなカラーを選ぶことができます。高品質かつ比較的コンパクトなライトです。

ランタン型

GENTOS(ジェントス) EX-144D

非常にコンパクトながら250ルーメンの明るさがあり、影ができにくくまんべんなく周囲を照らす「シャドーレストップカバー」を採用しており、性能以上の明るさを感じます。軽さもあり、水に落としても浮くフローティング機能もあります。単4電池4本で、250ルーメンで8時間、50ルーメンで48時間使用でき、107時間使用できるキャンドルモードも備えています。

GENTOS(ジェントス) EX-334D

白色・昼白色・暖色の3色が切り替え可能で、無段階調光が可能です。単3電池4本で最大440ルーメン、弱モードでは最長100時間使用できます。

LEDLENSER(レッドレンザー) ML4

こちらは単3電池1本、または付属の充電池を使用するモデルになります。コンパクトでカラビナタイプとなっていますが、明るさは充電池使用で300ルーメンと高性能です。明かりは白色タイプのモデルと暖色タイプのモデルがあります。

番外編 100円ショップ LED伸縮ランタン(税込¥330)

100円ショップのDAISOやキャンドゥなどでは、様々なランタンが売られています。中でもこの¥330(税込)の伸縮ランタンは、単3電池3本で約100ルーメン、点灯時間45時間と、それなりに明るく点灯時間も長めです。とにかく安いため、リビングやトイレや寝室などにと、停電時に複数個のランタンを使用する場合に非常に有用です。

コンパクト型

GENTOS(ジェントス) SK-8GWH

重さわすか8gの小さなキーライトです。ボタン電池(CR1616)を使用し、15ルーメンで8時間点灯します。15ルーメンという明るさですが、手元や足元を照らすには十分な明るさです。使い勝手がよく、私も複数個所有しており、色々なカバンやリュックにつけて、急な停電でもすぐに点灯できるようにしています。

パナソニック LEDクリップライト BF-AF20P

わずか19gと軽量で、クリップでカバン、ポケット、帽子などに取り付けることができ、可動させて好きな方向を照らすことができます。ボタン電池(CR2032)を使用し、10ルーメンで15時間点灯します。

パナソニック LEDネックライト BF-AF10P

首からかけて使用できる、ネックタイプのライトです。装着も簡単で、両手が自由に使えるため防災向きといえます。ボタン電池(CR2032)を使用し、13ルーメンで15時間点灯します。