目次
《湯煎調理とは?》
湯煎調理とは、「アイラップ」のような耐熱ポリ袋を使い、食材を袋の中に入れて中の空気をなるべく抜いて口を縛り、半真空状態にしてポリ袋ごと沸騰したお湯に入れ、湯煎で調理する方法です。アイラップ調理、ポリ袋調理、ポリ袋クッキング、パウチクッキングなども呼ばれることがあります。
《アイラップとは?》
耐熱ポリ袋といえば、「アイラップ」が非常に有名です。アイラップとは、岩谷マテリアルより発売されている耐熱・耐冷マチ付きポリ袋です。ホームセンターやネットショッピングで購入できます。
一般的なポリ袋は高温に弱く、湯煎調理や電子レンジを使うと袋が溶ける可能性があります。チャック付きビニール袋で有名な「ジップロック」の耐熱温度は100℃となっており、湯煎調理では鍋に触れると溶ける可能性があります。
アイラップは−30℃〜120℃まで対応し、熱湯で湯煎したり、食材を入れたまま電子レンジで温めたりと高温に耐えることができます。また食材を入れたまま冷凍庫に入れることもでき、低温にも強くなっています。サイズは横 21cm × 縦 35cmです。
60枚入りで約100円~240円前後(オープン価格)となっており、1枚あたり1.7円〜4.0円くらいと非常に安価です。
ライラップを収める専用のアイラップケースもあり、5色(ホワイト、ダークグレー、ライトグレー、オレンジ、ブルー)発売されてます。
《災害時の湯煎調理のメリット》
食材を混ぜる・漬ける・加熱するをすべて袋の中で行うことができるため、食材に直接手を触れず、手を汚すことなく調理が簡単にできます。また食べ終わった後はポリ袋をそのまま捨てるだけでよいので、衛生的かつ洗い物が非常に少なくて済み、災害時の限られた資源で調理と食事をすることができる、防災的に非常に有効な調理法と言えます。
例えば米を炊きながら、同じ鍋で他の食材も湯煎調理できるため、複数の食材を同時に調理でき、時短効果もあります。災害が発生しインフラが停止した場合は、カセットコンロを使うことになるため、カセットガスの節約にもなります。また湯煎用の鍋の水は必ずしも飲料水である必要はないため、生活用水を使用したり、再利用して使うこともできます。このため災害時だけでなく、普段使いや近年ブームとなっているキャンプ料理用としても非常に便利であると注目されています。
《災害時にカセットコンロとアイラップで炊飯》
- 米1合につき水 200ccが目安。茶碗1杯分として、アイラップに米60gと水80mlを入れる。米は無洗米が良いが、無洗米でなくてもそのまま研がずに入れる。
- 中の空気をしっかり抜き、口を縛る。この時なるべく口に近いところで縛ると、そのまま食器に盛り付けやすい。
- 30分くらい放置し、水を吸わせる。
- 必ず鍋底に耐熱皿を敷く(鍋底にアイラップが接触し穴が開くのを防ぐため。メーカーもかなり強調して注意喚起している)。
- 沸騰させた鍋にアイラップごと入れ、30分くらい湯煎する(レトルトカレーなどを一緒に温めると燃料の節約になる)。
- 鍋から取り出し、5分くらい置いて蒸らす。
- 口をハサミで切り、そのまま盛り付ける(食べ終わったらアイラップを捨てるだけでいいので、洗い物が不要になり、節水になる)。
- 鍋の水は再利用できるため、捨てないようにしましょう。
目安として、アイラップ1袋あたり白米2合まで炊飯できます。3合以上では袋を分けるようにしましょう。
湯煎調理は炊飯以外にも使えます。災害発生数日以内であれば、冷蔵庫の中の食材を湯煎調理することで食料にすることができます。またホットケーキミックスがあれば簡単に蒸しパンを作ることもでき、災害時でもおやつを食べることができます。
《普段使いにも非常に便利》
- 食品を小分けにしたり、なるべく空気を抜いて保存することで鮮度を保つことができる。
- 小分けにしたまま冷凍保存もできる。
- 手を汚さずに具材と調味料を混ぜ合わせることができ、衛生的でもある。
- 袋のまま湯煎だけでなく、レンジで温めることができる。
- 湯煎調理では、複数の料理を同時進行で調理できる。
- 肉を小分けにして冷凍する
- ハンバーグや唐揚げの下ごしらえ
- 卵と具材を混ぜ合わせて湯煎し、オムレツを作る
- 調味料と鶏肉を入れて湯煎し、鶏ハムやサラダチキンを作る
- 野菜とダシや塩昆布を入れて混ぜ、浅漬けを作る
- 野菜を湯煎またはレンジであたため、温野菜にする
- ホットケーキミックスと水をいれ、蒸しパンを作る
注意点としては湯煎をする場合でも、電子レンジで加熱する場合においても、必ず耐熱皿を敷くことです。
湯煎調理のレシピは非常に幅広く、インターネット上のレシピサイトに多数掲載されており、アイラップ調理専門のカテゴリも多数見受けられます。
私自身は普段料理をほとんどしないため、アイラップを普段使いしているわけではありませんが、アイラップのあまりの便利さに、「アイラップ信者」と名乗るヘビーユーザーやリピーターの方々がいらっしゃいます。
このようにアイラップは普段使いにも便利で、災害時にも有用な調理法です。いざという時に使えるように普段から使い慣れておくのがおすすめであり、普段使いすればローリングストックで備えることができます。普段の調理にアイラップを取り入れてみるのはいかがでしょう。
簡単・最強の備蓄法「ローリングストック」 〜防災を日常生活に取り入れる心構えとしても〜
《レシピ本「アイラップレシピ」》
アイラップの基本的な使い方から、日常使いやキャンプで役立つレシピが紹介されています。さらに、災害時に役立つアイラップレシピも紹介されており、防災用としても重要なレシピ本です。我が家では「防災グッズ」の位置付けで、この本を普段使いしながら「備えて」います。
災害時のアイラップ調理(湯煎調理)に役立つレシピ本 |災害時の限られた資源で温かい食事にありつく調理法